みんなつまずくよね?片麻痺患者の姿勢分析・動作分析の視点とか考え方とか書き方について。


姿勢分析・動作分析って!?

作業療法士や理学療法士は、患者さんの歩行や着替えなどの場面を観察して、どうして上手くいかないのか、を分析します。

片麻痺の患者さんを担当すると、ほぼ必ずやらなければいけない評価(≒観察・分析)で、この技術はもっともリハ職らしい技術のひとつかなと思っています。

リハ職のアイデンティティですね。

が、しかし・・・実に多くの学生がこの動作分析でつまずきます。

 

 

動作分析の伝統的な教え方に疑問を持ち、どう教えるかで試行錯誤してきました。

私がOTの教員になってから、とりあえず自分が学生のときに学んだ伝統的な方法で動作分析を教えたのですが、イマイチ上手くいかなかったんですね。

伝統的な方法というのは、まず自分たちの動作を正常動作として分析して、そのあと障害のある場合について考える、そして答えを出していく、というヤツ。

考える→答えを出す、の順番。

 

動作分析も国家試験も答えを見せてから考えるようにしたら理解がスムーズになった。

勉強の方法で効率なのは、「傾向と対策」ですよね。

まず問題と答えと解き方を伝え、その解き方について理解していく。

答えを知る→考える、の順番。

この順番を意識して授業をするようなになってから、国家試験も動作分析も、学生の理解がスムーズになったような気がします。

国家試験の方は東北唯一の100%合格でしたからね。

結果として現れてきてます。

 

それでは次から動作分析の方法の一部を紹介していきます。

実習前、動作分析についてどう考えたらいいかわからない学生にはいいヒントになるかなと思います。

 

とりあえず片麻痺患者さんを2つのタイプに分けてしまう。

患者さんは千差万別!2つに分けるなんてできない!人それぞれに個別に対応するのがOTなのに!・・・いや、そういうことじゃなくて、動作分析というものを理解するための工夫です。

わかりやすくするためにシンプルに2つに分けます。

 

1つ目は急性期プッシャー型

 

1つめのタイプは、プッシャーがあって座位がとれない人。

授業では「急性期プッシャー型」、と呼んでいます。呼び方はなんでもいいんですけど、急性期に多いのでそう呼んでます。

 

2つ目は回復期円背型

もう一つは、円背でいちおう座れるタイプ。

授業では「回復期円背型」と呼んでいます。

 

座位姿勢とリーチ動作の組み合わせで、その人の日常生活動作の傾向がわかる。

今回は2つめの「回復期円背型」について、例をあげて説明していきます。

 

まずは座位姿勢

さっきと同じ写真ですけど、回復期の円背型のキーワード(視点)は、「円背、骨盤後傾、非麻痺側重心」。

実習に行って、片麻痺の回復期で、円背で、一見普通に座っている患者さんを担当したら、よく見てみてください。

ほぼほぼそうなってますから。ほぼほぼ。

レポートには最低限「円背、骨盤後傾、重心は非麻痺側」の3つは書いときましょう。

 

次はリーチ。リーチは重心移動の評価!!

その座位姿勢自体は問題ありません。座れてますからね。

問題が出るのは動いたとき。いわゆる動的座位バランスというやつです。

動的座位バランスはリーチで見るとわかりやすい。

 

リーチは重心移動と体幹の反応(姿勢反応)の評価になります。

ファンクショナルリーチテストみたいに前方に何cm、という数値の評価ではなく、体幹の反応を観察する評価です。

前方リーチはこうなります。

前に手を伸ばしたいのに、円背のまま(むしろ円背がつよくなる)、骨盤は後継したまま、重心は後ろに残ったままですよね。

「前方への重心移動ができない、体幹や骨盤の前傾ができない」という評価になります。

レポートは、こんな風に書くことになります。

「前方リーチ:前方へ手を伸ばすが、体幹の円背が強まり、骨盤も後傾したままである。体幹や骨盤の前傾ができない。前方への重心移動ができない」

というわけで、手じゃなくて体幹を見てくださいね。

 

麻痺側へのリーチはこうなります。

麻痺側に手を伸ばしたいのに、円背のまま、骨盤は後継したまま、重心は非麻痺側にのこったまま。

つまり「麻痺側への重心移動ができない、体幹や骨盤の麻痺側への側屈ができない」という評価になります。

リーチで前方への重心移動ができないということは、前方への重心移動を伴う日常生活動作が困難だということ

この患者さんの食事動作をみます。

重心の前方移動ができないので、背中は車椅子のバックレストについたままになりますよね。

皿と口の距離があります。

スプーンでスープをすくって、この距離を運べば、ポタポタこぼれて当然です。カレーうどんとか・・・。

食べこぼしの原因は、スプーンを持つ手の不器用さ、ではなく、「体幹が前傾しない、骨盤が前傾しない、前方への重心移動ができない」になります。

レポートにそう書いてくださいね。

そして食べこぼしを減らすリハビリメニューは、スプーン操作の練習ではなく「前方への重心移動の練習」ということになります。

立ち上がり動作も見てみましょう。

右が健常で、(ちょっと極端ですけどw)ちゃんと前傾姿勢をとってから立ち上がります。立ち上がり前の前傾姿勢は、リハ関係者には定番ですよね。

 

そして左が片麻痺。

前方への重心移動、体幹の前傾、骨盤の前傾ができないので、いきなり上に向かって伸び上がります。

レポートには「体幹の前傾が不十分な状態で、下肢や体幹の伸展活動が始まる」なんてふうに書きます。

で、不十分な状態で立つので、重心が後ろ過ぎて尻もちついちゃうんですね。実際は危ないので尻もちがつかないように介助しますけど。

 

それではこの人の立ち上がり動作のリハビリはどうなるでしょうか。

「下肢の筋トレ!」と思った人は最初から読み返しです!

答えは「前方への重心移動の練習」ですよね。

 

同じような考え方で、次行ってみましょう!

リーチで麻痺側への重心移動ができない人は麻痺側への重心移動が伴う日常生活動作が困難

ということになります。

じゃあ麻痺側への重心移動を伴う動作、って何がありますかね。

更衣動作、とくにズボンは左右の重心移動

右が健常。右足を通すときは、当然重心は左に行きますよね。

左が片麻痺円背型。

右足を上げてるのに、重心が右に残ったまま。右足は麻痺がないのに、十分に上がりません。

ズボンに右足を通すためには、左に重心移動するリハメニューを組みます。

右手を使うときはキホン重心は左へ

重心は、右手を使うときは左、左手を使うときは右にシフトします。

人は両手を使うでしょうから、手の機能向上を目指すのであれば、前後左右の重心移動が必要ですよね。

何も知らないまま観察しても無理です

動作分析、動作の評価は、観察して発見するものではないです。

実習に行って、集中して特徴を見出そうとしてもそれは無理。

最初から特徴を知っておかなければいけません。

「右重心だよね・・・やっぱりね」「ここでこぼすよね・・・やっぱりね」「右足はひっかかるよね・・・やっぱりね」

動作分析は、知っていること、予想されることの確認作業です。

観察眼ではなく、知識。とにかく知識。

 

むしろ救いがある。大丈夫。できるよ。

覚えるべきことはたくさんあるので難しい、大変だと思うかもしれません。

でも別の言い方をすれば、「準備さえしっかりすれば対応できる」ということです。

世の中にはセンスがなければどうしようもないことがたくさんあるけれど、動作分析は覚えるべきことをちゃんと覚えてしまえば対応できる評価です。

センスじゃない、知識。

実習に行ってから絶望感で心が折れる前に、学校でしっかり知識を身に着けましょう!

仙台保健福祉専門学校のOT科は、東北では唯一国家試験の合格率100%(2018年度)で、試験対策に特化しているように思われがちですけど、実習対策もしっかりおこなっています。現場で仕事するうえで大切なのはむしろこういった実習の技術です。

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