これまで中高生のみなさんから寄せられたCG映像制作に関する質問と回答を、Q&A形式でまとめてみました。あなたのCGにまつわる疑問解消の一助になれば幸いです。
専門学校デジタルアーツ仙台 CGクリエイター科(時々更新しています)
<Ⅰ.CGの作り方に関する質問 >※質問をクリックするとその回答部分にジャンプします。
- Q1.(3D)CGを作るのは難しいですか?
- Q2.(3D)CGを作るのにどれくらい時間がかかりますか?
- Q3.(3D)CGはどうやって作るのですか?
- Q4.自宅や学校のパソコンでCGを作ってみたいのですが、どうしたら始められますか?
- Q5.(3D)CGを勉強するのに、どんなパソコンを買ったらいいですか?
<Ⅱ.CGの仕事に関する質問 >※質問をクリックするとその回答部分にジャンプします。
- Q6.CGデザイナーの仕事全般がよくわからないのですが…
- Q7.CGデザイナーの人は会社で働いているのですか? どんな会社で働いているのですか?
- Q8. CGデザイナーのお給料はどれくらいでしょうか?
<Ⅲ.適正や勉強法に関する質問 >※質問をクリックするとその回答部分にジャンプします。
- Q9. どんな人がCGデザイナーに向いていますか?
- Q10.今までCGの経験が全くないのですがCGデザイナーになれますか?
- Q11. 絵が不得意なのですがCGデザイナーになれますか?
- Q12. 高校で美術やデザインの科目を選択していないのですが、CGデザイナーになれますか?
- Q13. CGデザイナーをめざすには、中学や高校ではどんな勉強をしているといいですか?
<Ⅳ.資格や採用試験に関する質問 >※質問をクリックするとその回答部分にジャンプします。
- Q14.CGデザイナーの仕事に就くにはどんな資格が必要ですか?
- Q15.CGデザイナーの就職試験の内容はどんなものですか?
- Q16.CGデザイナーの就職試験はいつありますか?
- Q17. 採用試験で合格するにはどんな作品をつくればいいのですか?
<Ⅰ.CGの作り方に関する質問への回答>
A1.他の分野・仕事とくらべてCGを作ることが特に難しいということはないと思います。ただ3DCGはパソコンで作るジオラマ、フィギュア、手芸、アニメーションのようなもので地味な作業を積み重ねるので、向き不向きはあると思います。入門時の作業はたやすく、徐々に難しくなり、一人前になるには難しい作業をやり遂げる経験が必要ですが、CGに限らずどんな仕事にもあてはまる当たり前のことですよね。CGが好きな人にはそれは苦労と同時に喜びでもあり、きっと乗り越えられる難しさだと思います。
さてこの数年間で以前とは比較にならないほど、CGはとても作りやすく勉強しやすくなっています。たとえばこちらの体験授業の映像をご覧ください。30分でゲーム背景CGができちゃいます。ちなみにそこで使っている「Unity」というゲームエディタは、趣味や勉強目的で使うなら無料で提供されているんですよ!こんな時代にCGを勉強してみない手はないと思います。冒頭に向き不向きのことを言いましたが、自分がどちらかなのは少しCGづくりを体験すれば自分の実感としてわかると思います。CGづくりを一度体験してみてはいかがでしょう?
A2.精密さにこだわらずあらかじめ用意されていたCGパーツだけ使って組み立てるのであれば、こちらの体験授業の映像のように30分とか1時間程度で作れます。一方、作ってお代をいただく仕事レベルの質・量のCGだとそうもいかず、キャラクター1体作るのに毎日8時間働いて数日から数カ月時間がかかるでしょう。ゲームやアニメや映画作品(のCG)が、数週間~1・2年という長い時間をかけて作られているのはご存知ですね?
A3. 工程についてごく簡単に説明すると下の4工程になります。
- 資料を集め作るものを決める
- 形を作る(立体化・骨組み入れ・表面のペイント)
- (キャラクターであれば)動きをつける
- 映像として仕上げる(ライティングなど)
知りたいのは上のような概要でなく、それぞれの工程の詳しいことだったでしょうか?それなら下の各社のCGデザイナー求人を見てみましょう。CGの作り方が各社のCGデザイナーの分業の様子とともによくわかるのではないかと思います。
いずれにしてもこのスペースで言葉で説明し、理解していただくには限界がありそうです。「百聞は一見に如かず」です。CGを教えている学校のオープンキャンパスなどに参加してみてはいかがでしょうか?
Q4.自宅や学校のパソコンでCGを作ってみたいのですが、どうしたら始められますか?
A4.お持ちのパソコンに合わせて、無料のCGソフトを入手して始めるのがいいと思います。何といっても無料ですし、始めるのが簡単なソフトが多いですから。
- WindowsOSのパソコンのお勧め3DCG系ソフト
- メタセコイアLE (3Dモデリングアプリ 日本で開発 書籍多数)
- ミクミクダンスver.524 (3Dアニメーションアプリ XP向け 日本で開発 書籍多数)
- ミクミクダンスver.801 (3Dアニメーションアプリ Vista以降向け 日本で開発 書籍多数)
- ミクミクムービング (3Dアニメーションアプリ 7以降向け 日本で開発)
- Blender (Win版 3DCG統合アプリ 日本語サイトあり 書籍あり)
- softimage MOD TOOL (3DCG統合アプリ 商用不可 英語サイト)
- Unity (ゲームエンジン・エディタ 日本サイトあり 書籍あり)
- ef-12 (格闘ゲームエンジン・エディタ 日本で開発)
- GIMP (ペイント系アプリ 日本語サイトあり 書籍あり)
- MacOSのパソコンのお勧め3DCG系ソフト
ちなみに、上のCGアプリはいずれもCGクリエイター科の体験入学会で実際に操作しながら紹介しています。
Q5.(3D)CGを勉強するのに、どんなパソコンを買ったらいいですか?
A5.3DCG制作に向いたパソコンがあります。それはデスクトップ型でWindows7ProfessionalOSの動くもので、グラフィックカードが3DCG制作用のものです。モニタ込で13万円前後の値段になると思います。ずいぶん安価になりました。一般的なパソコンやゲームプレイ用のパソコンとは、少しだけですがパーツが違いますので(外観は同じですから違いがわかりにくいだけに)注意しましょう。。CG制作用の信頼性のある定番パーツ構成のパソコンでないと、CGアプリがそもそも動作しなかったり、はじめ動作しても制作を進めるにつれだんだん表示がおかしくなって制作が進められない事態になったりします。3DCG制作について良く分かっている人に相談して買いましょう。ちなみにノート型パソコンで十分な性能を持つものは限られていて高価です。また現状ではipadなどのタブレットPCで満足な3DCGの制作はできません。
<Ⅱ.CGの仕事に関する質問への回答 >
A6.CGを作る工程にしたがって、CGの仕事の職種はおおまかには下の3つに分かれます。
- 形を作る「モデラー」
- 動きをつける「アニメーター」
- 映像を仕上げる「コンポジター」
大きな会社ではもっと細かく職種が分かれて専門化していますし、小さなな会社や制作スタイルによって大手でも逆にほとんど一人で行うこともあります。それゆえ、学校でCG映像制作の工程一通りと得意分野の勉強を進めることをお勧めします。
より詳しい仕事の内容・職種が知りたいなら下の記事を参考にしてみましょう。
Q7. CGデザイナーの人は会社で働いているのですか? どんな会社で働いているのですか?
A7.はい。フリーの方(外部スタッフ)を除いて、会社員として働いています。採用試験を受けて入社します。あなたに自由なスタイルで仕事をしたい希望があったとしても、仕事は原則共同作業なので、仕事の進め方を知ったりや品質を(高く)合わせるのに、新卒時には会社に入社することを考え、現場のノウハウを身につけることをお勧めします。
CGデザイナーが働いている会社の種類(CG映像業界の会社)の主なものは、以下の6つです。
CG制作会社 | CGづくり専門の会社で、下の2~6の会社から依頼を受けてCGを制作して納品します。自社映画を出す会社もあります |
ゲーム制作会社 | CG部のような部署でCGデザイナーが働いています。ゲームのビジュアルは全部CGなので作業量が多く、自分の会社にCGを作るので精いっぱい。他の会社のCGの仕事を引き受けることはまずありません |
TV/CM制作会社 | 番組オープニングやCM映像などを作る会社のCG部で働いています。 |
アニメ制作会社 | デジタル部と呼ばれる部署でアニメ作品の背景やメカ・乗り物、一部キャラクターを担当して働いています。ゲームのCGを引き受けていたりもします。 |
映画制作会社 | 日本では映画会社の中に大きなCG部はなく、多くの会社と分担共同で映画のCGを制作しています。 |
建築パース制作会社 | 建築物の完成イメージを作る会社で働いています。1~5の会社のようなエンタテインメント性は薄いです。 |
A8.初任給でいうと、2013年現在、仙台で15~18万円程度、首都圏で18~22万円程度です。事務職+1万円程度でしょうか。、(3D)CGデザイナーは給料制が一般的で収入が安定していると言えると思います。ちなみに手描きのCGイラストレータや手描きのアニメータは1枚いくらの出来高制であるのが一般的です。
<Ⅲ.適正や勉強法に関する質問への回答 >
A9.まず何と言っても3DCG映像づくりが好きな人です。これは一種の才能で、3DCG映像づくりの苦労は苦労と思わない情熱の力がある人です。3DCGは模型作り、人形づくり、ジオラマづくり、アニメづくり、映画撮影のようなものですから、コツコツ何カ月も地味な日課の作業を積み重ね完成させる作業があります。そのような作業を耐えがたい苦労と思う人もいれば、苦労は苦労だが面白くやりがいのある作業だと感じる人もいるわけです。これを根気強い人とか新しい技術の習得に貪欲な人…などといくつもに分けて言うこともできそうですが、それらをCG作品づくりに注ぐことができる人なのかが問題なのです。
そのようなCGづくりに対する才能の芽や情熱の火種が自分にあるかどうか、CGが好きか嫌いかとか向き不向きはCGを見ているだけでは分からないものです。見ると作るとでは大違いだったりします。CGを作ってみればすぐ自分の実感として感じるものがあると思います。自分がCGデザイナーに向いているのか不向きなのか知るには、CGを教える学校のオープンキャンパスなどでCGの体験授業を受けてみることをお勧めします。
Q10.今までCGの経験が全くないのですがCGデザイナーになれますか?
A10.なれると思います。学校で1~2年、CG制作の勉強に没頭してみる情熱があれば十分なれます。入学後半年もしたら大作の構想を練り始め、半年~1年かけて完成させましょう。その作品はあなたのCG作りの情熱と技能を証明する大切な作品になります。CGデザイナーの就職試験では、だれもがそのような作品を応募して評価を待つことになります。
A11.なれると思います。おそらくあなたはこれまで絵の描き方のレッスンを受けたことがないので、描き方や美術的な見方がわからないだけだと思うからです。画家になりたいのであればそれ以上の才能も必要でしょうが、CGデザイナーになるのに必須なのはデッサン力=美術的観察力で、明暗による立体的表現、質感表現、遠近法、色彩と配色、人体の理解、ポーズ程度だと思われ、これらはたいていの人はレッスンで短期間に上達するものです。また最終的にはCGで表現してなんぼですから、CGアプリの助けをうまく受けて表現することもできるでしょう。
Q12.高校で美術やデザインの科目を選択していないのですが、CGデザイナーになれますか?
A12.まず、美術の授業を受講してきたか否かで、入学してきたみなさんの美術的技能に差があるかというと、実はあまり差がありませんので気にしなくていいと思われます。ただし気にしていらっしゃるとおり、いいCGデザイナーを目指すのに美術の才能や技能があったほうがいいのは間違いありません。本校に入学後、美術的な見方に慣れ・模写中心に表現のしかたを貪欲に吸収することで比較的短期間でよいCGデザインができるようになると思います。
Q13.将来CGデザイナーになりたいのですが、中学・高校(中学)では、どんな勉強をするといいですか?
A13.中学高校のどの科目の勉強もCGデザイナーの仕事に役立つので、あなたの得意な科目を中心にしっかり勉強してきてください。強いて言えば英語とパソコンと美術のどれかが得意だといいかもしれません。そのほか特殊効果のアニメーションに科学が、ストーリーや演技の理解に国語が、音楽との連携に音楽が、キャラクターアニメーションにダンスや武道や運動の経験が役に立ちます。学校の勉強もこれはどんなふうにCGデザインに役に立つかなって考えると視点が変わって勉強にやる気がでると思いますよ。
学校の勉強ではありませんが、映画やアニメやゲームの映像をよーく見る-いろいろ見る-何度も見ることも役にたちます。
<Ⅳ.資格や採用試験に関する質問への回答 >
Q14.CGデザイナーの仕事に就くにはどんな資格が必要ですか?
A14. 結論をいうと資格は不要です。CGデザイナーの求人で資格を応募条件にした例、資格で採用する例を見たことがありません。資格に代わり就職活動に必須なのが、ポートフォリオ(自己PR作品集)です。ポートフォリオには、CG作品とデッサン作品、その他を入れるのが一般的でしょう。
関連した話題のこちらのQ&Aもごらんください。
※CG-ARTS協会のCGクリエイター検定などの資格は、CGの仕事をしようとする人は取得していて当然の基礎的な資格です。自分の専門知識の整理・勉強チェックに、資格を取得しましょう。
A15. どの会社にも共通の(CG)デザイナーの就職試験の内容は、「ポートフォリオ」(=自己PR作品(集))の提出やそのプレゼンテーションです。(3D)CGデザイナーの場合、仕事の現場は作業に取り掛かってから完成までの期間が長期にわたることも多く、モチベーションを維持して、粘り強くCG作品を作り上げ完成させる才能を求めています。そのような才能を短時間の実技試験や筆記試験を行って測ることは困難です。そこで受験者には、時間をかけて精一杯作りこんだ自己PR作品(集)の提出をしてもらって、実技試験に代えているわけです。
CGの大作の他に提出が課せられる作品について説明します。もっとも多いのは、デッサン力を見るため、手描きの「自画像」など人物デッサンを課すものです。風景画を課すところもあります。また実技試験を行い言葉で示したポーズの人物を描かせる会社もあります。 一般教養の筆記試験を行うところもあります。
A16. 大別して3つのタイプがあります。
- 5月タイプ:前年の12月に求人が公開し、5月ごろまでに説明会と1次試験を行うタイプで、大手ゲーム制作会社の定期採用などを中心に、もっとも主流です。チャンスは1回です。
- 5月と10月の2期制タイプ:両方の2回ともに応募でき、チャンスが2倍です。
- 通年・随時タイプ:いつでも何度も応募できるタイプが主流です。チャンス無限大ですがハードルが低いわけではありませんので、何度も応募するだけの作品をつくるガッツが鍵です。
Q17. 採用試験で合格するにはどんな作品をつくればいいのですか?
A17. 一言でいうと、商品レベルに達している何かが表現された作品で、たとえば半年や1年の長い期間をかけて取り組み仕上げた質と量の作品だと言えると思います。するとテーマをもって作品づくりに臨んだ方がよさそうです。会社によっては作品の評価を返してくれますので参考にしましょう。また指定した課題作品をの制作を課す会社もあります。作品に作者の独自性をどこまで求めるかは会社によって強弱があるようで一概には言えないようです。自分を採用してくれる会社と出会いを求めて就職試験に臨みましょう。