ゲーム業界早わかり【2013】


ゲーム関連の職業を解説します。

  • 「ゲームは好きだけど仕事になるのか?」
  • 「子供がゲームって騒ぐけど大丈夫??」

なかなかピンと来ない、よく分からない情報がネットでは多いです、そんな疑問にお答えします。「ちょっと違うぞ」という業界からのツッコミや、そこをもっと知りたいというリクエストが有りましたら、適宜、改変します。

ゲームクリエイターの働く会社

ゲームソフトを制作している企業に限定されますが、一般には実体が分かりにくくなっています。ここではソフトウエア制作に的を絞り、主だった分類を、以下に示します。

  1. パブリッシャー
    ソフトウエアを販売していることで利益を生むビジネスを示します。それを主としている企業は、消費者から観た時の「ソフトメーカー」が、ほぼこれに該当します。本体の制作以外に、パッケージ制作や宣伝も担当し、開発費を負担し売上に応じた収益を見込んだ業務をこなします。コンシューマ機の場合は、ゲーム平均開発費が数億円にのぼり、また、売上が保証されないため、ある程度の安定した財務資本を有することが条件となり、数は限られます。スマートフォン用のゲームなどで開発費が安い場合に、パブリッシャー業に参入出来る企業が増えています。
  2. デベロッパー
    ソフトウエアを開発することを生業にする企業で、消費者から観た場合に隠れている事が多く表には余り出ませんが、制作の中心はこちらが担っています。パブリッシャーと制作を契約し、作ったゲームをパブリッシャーへ納品することで収益を上げます。消費者から直接、収益を上げることは無いため、売上に業績が直接は左右されにくく、パブリッシャー並の大資本は条件にはなりません。デベロッパーのスポンサーがパブリッシャー、と言い換えることもできます。創って売りたいゲームが在っても流通するコストを負担できない、そうした場合はパブリッシャをする企業に提案して、創り、販売を任せるということもあります。

仕事の内容

求人での大まかな分類は、以下になります。

  1. 企画
    ゲームプランナー、ゲームデザイナーとも呼ばれます。企業によって範囲が変わりますが、プログラマやグラフィックといったゲームのその物以外の制作が企画の仕事です。ゲームの立案から仕様を決め、それをプログラマやグラフィック担当、更には音楽や声優の手配までやる場合もあります。ゲームの立案だけで終わる仕事ではなく、完成までの管理も担当します。制作費から考えて、採算に見合うかも考えます。他の人とのやりとりが多く、コミュニケーション能力が求められます。企画書や仕様書を作り、他の担当者に説明しなくてはなりません。相手がグラフィックの担当者で、どういう絵が欲しいか説明する場合は絵が分ると良いですし、プログラマに話をするときはプログラミングの知識が在あった方が指示し易いので、全般的な知識が望ましいです。あとは発想力(ネタをどれだけ出せるか)です。
  2. プログラマ
    企業によってエンジニアと呼ばれ、プログラミングを担当します。ゲームの中身はすべての事象を数値と数式に置き換えます、それを作る仕事です。大規模なゲームでは、人物の動作・戦闘場面・画面表示・効果音制御など分かれて分担し、サーバ構築なども含まれる場合があります。要求された仕様を満たすプログラムを作成する事は基より、仕様に無い部分を創るといった技能も要求されます。例えば「車のブレーキを踏んだら減速」と仕様にあっても、どれだけ踏んだ場合にどれだけ減速するかといった部分を任せられる場合があります。テストして更に変更を加えていくという手順をとります。画像に連動して作成するなど、他のスタッフと連携します。プログラムは数式の羅列なので、数学と物理の理解はある程度、必要です。入社で試験される場合もあります。
  3. グラフィック
    CGを描くのは当然ですが、その内容は原画(手書きで2Dキャラクタの人物を描く)、彩色(原画をコンピュータに取り込んで色を塗る)、3Dモデリング(物体の3次元構造を創る)、3Dアニメーション(モデリングされたデータに動作を付加する)といった仕事に分かれ、ゲームによって要求される技能も変わるという事が云えます。大別すると、2D/3Dで人材が分かれますが、相互に補完する必要性があるので両方扱うことが出来る事が理想で、2D・3Dに問わずデッサン能力が問われます。

必要な資格

検定等で測れる資格を求められることは、殆どありません。技能面での実力第一で、資格や性別、年齢は余り問われません。

仕事の厳しさ

「好きなゲームを創りたい」「ゲームをプレイするのが好き」という意識だけでは、仕事になりません。商品をプレイヤーに提供することが仕事なので、プレイヤーとしての意識だけでは無く、「作ったもので遊んで欲しい」と考えられる人は、クリエイターに相応しいでしょう。また、先端技術を駆使して開発するため、日進月歩の技術革新についていく努力を常に求められます。そうした考え方から、即戦力としての能力を欲しがられる場合の他、入社後の成長による将来性を期待して採用される場合もあり得ます。

現在の状況と将来性

エンターテインメント産業では珍しく安定的に求人が有り、ビジネスチャンスを期待しての活動をしています。近年の傾向で留意すべきは、

  • ダウンロードによる流通が盛ん
    スマートフォン向けのゲームが最近、多くなっています、これはほとんどサーバからのダウンロード販売です。コンシューマゲームの流通でもダウンロード販売が盛んになりつつあります。パブリッシャーの負担する流通コストが少なくて済むようになり、パブリッシャー業に参入する障壁が低くなっています。このため、多くの企業に今までと違うビジネスの可能性が拡がっています。
  • 新しいハードウエアが発売されると、雇用が増える(ことがよくあった)
    ハードはソフトがないと売れません。ファーストパーティー(ハードメーカー)はソフトメーカーを支援などして、多くのタイトルを自社ハードで開発して欲しいと願っています。発売初期には、パブリッシャーを支援する場合があり、多くのソフトを同時開発することがあります。また、新しいハードでは、従来と違った開発手法を求められる場合が多く、開発コストがかかるため人手不足になり、募集に拍車がかかります。
    が、近年のハードは機能的に参入障壁を下げる方策を考えており、また、開発側も簡単にマルチプラットフォームに出来るようにしているので、単純に募集が増えるとは言えないくなってきています。
  • 海外は無視できない
    これは昔からではありますが、ゲームの海外での市場規模は日本国内の数倍あり、大手パブリッシャーは海外を無視しているところは在りません。海外のコンシューマゲーム市場では大手の寡占化が進んでいます、その大手はマルチプラットフォームを推進しており、ファーストパーティーに較べると影響力が強くなっています。

給与について

初任給で17万~22万前後で、20代の平均年収は300万、30代で500万です。年数を重ねると差が拡がる傾向で、実力次第で上げられる世界です。

高校時代にやるべきこと

ゲームを多くやっていれば役に立つかというと、意識次第です。ただ、万全と遊ぶだけでは役に立たず、どうして面白く感じるか等、分析する必要があります。また、ゲームばかりしていると新しいアイデアが出ず、既存の製品から抜け出せない発想に陥りがちです、ゲームばかりしているのは好まれません。
学習については、ゲームは実世界を映し出す面があるので、高校程度の学習は全てが役立ちます。高校の勉強はきちんとすべきで、高校の学習内容は身に付いていることを求められます。