作業療法士による視覚リハビリテーション~ロービジョンリハビリテーションについて~

2021/09/10


ロービジョンとは

皆さんは『ロービジョン』という言葉を聞いたことはありますか?

日本ではまだあまり聞き慣れない言葉かもしれません・・・・。

ロービジョンとは、見えにくいために生活上の困難を生じている状態を総称した概念を指します。世界保健機関(WHO)では、良い方の眼の矯正視力0.05未満を失明、0.05以上0.3未満をロービジョンと定義しています。

 

ロービジョン者への対応状況

『視覚障害』という言葉を聞くと、全く目が見えない人を連想しがちですが、完全に見えない方の方が少なく、いくらか視力が残っている方の方が多く存在します。

日本においてロービジョン者は145万人いると推計されています。

しかし視覚障害による障害者手帳保有は31万人であり、多くのロービジョン者に適切な支援やケアが行き届いていないことが世界でも日本でも課題となっています。

 

作業療法士によるロービジョン者のリハビリテーション

米国やカナダや欧州などの海外では作業療法士がロービジョン者のリハビリテーションを実践しています。

作業療法士は視機能(視力、視野、色覚、コントラスト感度、羞明、眼球運動など)や運転の適性や照明などの住環境を検査します。

また個別の課題に焦点を当てた問題解決戦略やデバイス使用や住環境調整などの介入により、ロービジョン者の日常生活活動および社会参加の改善や転倒率の減少に貢献しています。

本校の作業療法科の教員の一人が、日本でロービジョンリハビリテーションに関する研究を行っています。

医学系雑誌に掲載された論文を紹介します。興味のある方は是非、読んでみてくださいね。

 

論文紹介

小幡紘輝,鈴鴨よしみ,小野峰子,小林 禎,只埜弓美,宮武ミドリ,出江紳一:地域包括ロービジョンケアシステム研究:行動特性によるロービジョン者の抽出.眼科臨床紀要12(3):187-193,2019.

鈴鴨よしみ,小幡紘輝:視覚障害に対するリハビリテーションアプローチ(解説/特集). Journal of Clinical Rehabilitation 30(2):118-123,2021.

小幡紘輝、鈴鴨よしみ、宮武ミドリ、出江紳一:作業療法士によるロービジョン者への評価と介入の実態 ─文献レビュー─. 作業療法40(4):407-414,2021.
DOI https://doi.org/10.32178/jotr.40.4_407