イメージしにくい?精神科のリハビリ。評価の視点、ポイントは?臨床実習の不安を解消したい!

2021/07/20


精神科の臨床実習がイメージできない・・・

こんにちは。ブログ担当OTです。

イメージしにくいともっぱら評判(笑)の精神科作業療法。入学後に学生から「精神科の実習って何するんですか?」とよく質問されます。イメージできないものは不安なんですよね。学年が上がるとセミナーなどで実習の話が聞けるのでそういう質問はなくなってきますが、いつかブログで書きたいなと思っていました。ちなみにブログ担当OTの専門は身体障害なので、今回は精神科OTの教員に記事の内容を依頼しました。

(2019年臨床実習後のセミナーの様子)

精神科に入院するということ

そもそも精神科に入院すること自体がイメージしにくいですよね。

精神疾患を患うと、ひどく混乱したり、怯えたり、心身の活動性が弱くなったりして、生活ができなくなります。ざっくりいうと「生活できなくなる」というのが入院の目安です。家族のサポートがあって生活できる場合は通院になりますが、混乱している人をサポートするのは大変です。家族が支えきれない場合、やはり生活がままらないので入院になります。

入院すると、薬による治療とリハビリテーションで退院を目指します。退院するということは、「生活できるようになった」ということです。(必要に応じて自宅訪問などのサポートがあります)

つまり作業療法は「生活できるようになること」と目指してリハビリをおこないます。生活とは、食事、更衣、買い物、服薬管理、余暇、コミュニケーション、お風呂など・・・。そして同時に、ただ生活できるだけでなく「QOLの向上」を目指します。

 

精神科作業療法のADL評価を紹介

精神科作業療法について全て紹介しようとすると分厚い教科書になります。概要を書くとフワッとしていてわかったようなわからないような・・・。

テーマをぐっと絞って「精神科作業療法の日常生活活動(ADL)の評価」、そこからさらに絞って「入浴の評価」の方法を紹介します。臨床実習でおこなうことの一例です。

 

作業療法の評価とは

まずリハビリテーションは大きく分けて「評価」と「治療」で構成されます。

評価とは対象者の分析です。治療の内容は評価の結果によって変わります。

治療が進むと心身の状態が変化していきます。変化に合わせてまた評価し、評価結果に合わせて治療を変えていく、を繰り返します。

みんなつまずくよね?片麻痺患者の姿勢分析・動作分析の視点とか考え方とか書き方について

 

入浴の評価のポイントは?

今回のテーマは入浴。

評価のポイントはどこでしょうか。

評価は漠然とした観察ではなく、予想される困難の確認作業です。その予想される困難のことを「評価のポイント」とか「評価の視点」と呼んでいて、予め知っておかなければいけません。

ポイントは3つ。

①身体面:問題なく動けるか(スムーズな動き)
②環境面:場所が変わっても、問題なくできそうか?
③精神知的面:入浴の時間(病院は入浴の曜日と時間が決まっています。)を理解しているか、そこの場所の入浴ルールを理解しているか?

①身体面はまず浴室で転倒しないことが重要です。浴室内での歩行時や浴槽またぎでのふらつき、床の滑りやすさなどを確認してください。薬が原因でフラフラしていることが多いです。

②環境面は、病院の風呂だけじゃなく、退院先の自宅や銭湯でも入浴できるかを考えましょう。ふらつきだけでなく、一人でフロに入ろうという気になれる?気持ち的に銭湯はいける?他の人がいても混乱しない?という視点で評価してください。

③精神・知的面では、入浴の時間や曜日を把握できているか?いつもナースから促されて入ってると曜日の感覚がなくなってきます。ときどき曜日や時間変更がありますが、それに混乱しないでついていけるか?その入浴のルールを理解できてる?といったところでしょうか。

 

評価の方法は?

評価方法(ルート)も3つ。

A:他部門(Nsなど)に聞く・・・・・情報収集
B:本人に聞く・・・・・面接
C:実際に確かめる・・・・・観察

A:情報収集は具体性が重要。「お風呂どうですかー?」みたいなフワッとした聞き方をすると「お風呂できてますよー」みたいなフワッとした回答が来ます笑

B:面接は本人に聞きます。入浴への意識が重要です。スタッフに言われたから入っているのか、清潔に体を保ちたいからか、といったことを記録しましょう。

C:観察。評価方法としてメインになりますが、入浴に関してはどうでしょう?指導者に風呂場内の活動なのでできない、しなくていいといわれるかもしれません。その時には直接確認はできませんが、身体障害分野と同じように、模擬的に実施してもらって、ふらつきなどを確認していくといいと思います。

 

しっかり準備して不安を解消しよう

学生が臨床実習に不安を覚えるのは理解できます。初めての現場、初めての指導者、初めての患者。未知のものに不安を覚えるのは当然のことです。

少しでも不安を解消させるには、十分に準備をして、未知を減らしていくしかないと思っています。

実習では入浴以外の項目についても同様に評価していきます。

生活リズム、服薬管理、コミュニケーション、うまく休息がとれるか・・・

これらもやはり予め評価のポイントを知っておく必要があります。実習で重要なのは準備。現場で立ちすくむことのないようにしっかり準備していきましょう!

 

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