「こいつは格好良い」と言わしめるのに近道は無い。これから述べる事は、ただ楽しければ良いというボードが好きな人には無関係です。上達したいと考える人は読んでみて下さい。


 上級者と初心者の違いは、頭の中のイメージがよくできており、仕組みを理解し、条件反射レベルで雪面の状況や空中の状態に対処し意のままに滑るということです。イメージしたターンが描け、思った通りの空中姿勢が保たれ、狙ったラインに突っ込む、不意の空中のバランス変化や雪面の状態に対処し、予定通りの滑りをするのが上級者で、それが上達したと言えることです。


 まず、不意の変化に対する耐性を上げることが重要です。フラットなバーンばかり滑っていると上達しません。初心者は特に出来るだけ緩斜面を好みますが、中斜面から練習することを勧めます。何故なら、ボードは必ずどちらかのエッジにのっていることを意識する必要があり、緩斜面ではそれが曖昧になりがちです。基本的なエッジングを理解するには逆エッジを絶対に掛けないことが大切で、逆エッジでも何となく滑れてしまう斜度ではそれが解らなくなってしまいます。斜度があれば逆エッジは必ず転倒し停止をもたらします。多少痛い目を見ることになりますが、転倒体制を確実にする為にもこれが重要です。緩斜面の方が逆エッジに陥りやすく事故も多い事も覚えておきましょう。


 確実に耐性を上げるには、着実に基礎から応用へと進むべきです。例えば、フェイキーが出来なければ回転系は難しくなります。ランディングした時点で予定した分の回転角が得られていない場合、どちらのスタンスでランディングするか判らず対応出来なくなります。順番としては、あらゆるバーンでターンがコントロール出来る事を先ず練習します。エアーはランディングまで極まって初めて完成します。いくら空中で様々な事をしても、ランディングが極まらなければCOOLとは言えません。ランディング時にどういう状態でバーンにボードが触れるかは多様な状況があり、それに対処できなくてはなりません。エアーの場合は次に、高く飛ぶことを練習します。滞空時間に余裕があるかでランディングまでの流れを如何に多様化できるか、確実にランディングまでもっていけるかが変わります。ランディングが確実に出来る様になったら、様々なトリックへ移ります。初めはミュート等の基本技が、グラビングによって体制が安定するのも手伝って簡単に出来ます。それができたらインディー、トゥィークと流れれば会得出来るでしょう。回転系に入る場合は、前述の通りフェイキーの練習の後の方が得策です。先行動作と視点移動が重要になるので、それに気を付けながら練習すると良いです。


 次に、ある程度上達し高度な技に挑戦するにつれ、イメージを頭の中に確実にしないと極められなくなります。頭で理解出来ないことは体に指示出来ない故、客観的に観て知っているトリックをいきなりは出来ません。客観視した場合とは視線の変化も違います。ブラインドサイドへ回る場合やフリップは特に、空中で自分がどういう状態にあるのか判りづらくなり、イメージが重要になります。イメージトレーニングを積んでからの方が、簡単に出来ます。


 ただ滑っているだけでは早く上達しません。考えて滑ることが重要です。今、どれくらい過重がどっちサイドにかかっているか等を頭の中に留め、失敗したらその原因を分析するというのが何より確実です。フリーでもレースでもそれが言えます。