トリックについて

 スノーボードのトリックは、様々なネーミングで判りづらいところがありますが、簡単に解説します。


トリックの基本

 トリックは、基本的な考え方に基づいて定義されており、体操競技に似ています。分類点を以下に挙げます。

入る時のスタンス

 トリックに入る時の状態で分類されます。

進行方向に対してどちらが前になっているか

 トリックに入る時のスタンスがフェイキー(レギュラーの者であれば右が前、グーフィーはその逆)か否かが先ず第一のポイントです。
 ネーミングする場合には、これが良く始めか最後尾に付き、多くの場合はスイッチスタンス(スケートの場合の逆足の用語で意味的に正確で無いが一般化された)と表現されます。

どちらのエッジにのっているか

 ストレートジャンプの場合は無関係ですが、パイプではフロントサイド/バックサイドのどちらにのっているかがポイントになります。
 回転が伴う場合はブラインドサイド(背中側)でランディングする場合が難しくなります。

グラビング(ボードを掴む)

 ボードを掴む動作をすることを"グラブ"と言います。
 元来はスケートで必要なもので(足から離れない様にする為)スノーボードには不要ですが、トリックのバリエーションとして用いられます。
 以下に更に分類できます。

どちらの手か

進行方向に対して前後(レギュラーであれば左/右)どちらの手で掴むかがポイントです。

どこを掴むか

スタンスに対して前/後、進行方向に対しトップ/テールの4カ所がグラブするポイントです。

どうやって掴むか

これは最近廃れていますが、手を足の間を通すか否かがポイントです。

ボーニング(片足を伸ばす)

 空中で片足だけ伸ばした状態をボーンと呼びます。進行方向に対してどちらを出すかでノーズボーン・テールボーンに分類されます。

シフティー(ひねり)とレイト(遅らせる)

 空中で、上体とボードの向きをずらした状態(ボードがそのままで上体が進行方向に対し逆を向いている)で、多くの場合は回転する場合に上体とボードを別に回転させた場合の呼び名です。
 レイトとは後から回転させる動作です。これを用いた場合は通常、シフティーで上体だけ回転させてからボードを後から回転する故、シフティーとレイトは一緒にせざるを得ない場合が多く、シフティーレイトと合わせて呼びます。

回転

 ランディングする迄の回転を指します。

横回転

 角度は180°から360°,540°,720°,1080°くらいまでが一般的です。パイプ等の場合は角度の考え方が違います(単純なエアターンで180°になる)。

縦回転

 フリップと呼び、進行方向に対する回転方向でバックフリップ・フロントフリップに分類され、更に回転数が分類されます。
通常、"フリップ"とだけ言う場合はバックフリップを指します。

3D

縦・横の組み合わせで回転角が斜めの場合3Dと呼び、別名でミスティーとも呼ばれます。

実際のトリック

トリックは全て、上記の組み合わせで出来ています。

基本トリック

 スケートのトリックからくるもので、グラブ系であればミュート(前の手でフロントをグラブ)、インディー(後ろ手でバックをグラブ)等が挙げられます。回転系では180(OneEightee)等、角度で呼びます。

組み合わせ

 上記を組み合わせたものが、一般にトリックたり得ます。メジャーなものではトゥィーク(バックサイドを前手で掴み体をひねる)等が挙げられます。メジャーであれば名前が付けられるのが多く、また、スケートでの技と同名のものも多数あります。

高難易度

 難易度が高いものはあみ出した人間の名前がトリックの名前になる場合が多く、MacTwist(540°フロントフリップ)やHaakonFlip(フェイキー540°フロントフリップ)等が旧来からあるものです。これらは高難易度ゆえ名前が長くなって呼びづらいという側面からもきていると思われます。フリースタイルの技ではありませんが、カービングターンで上体を伸ばし胴体と腕を雪面に擦る様に滑るのをヴィッデリーターンと呼びますが、これもセルジ・ヴィデリーというプロが編み出したことから命名されました。




トリックには流行り廃りがあり、昔はグラビングで競っていたのが回転に移り、更にジビングやシフティー等のニュースクール系がもてはやされた時代を過ぎ、今現在はコンペティブな難易度が高いものがもてはやされているが、個人的には単純な技で高く飛んだ方が楽しいしCOOLと思える。難しい技でなくてはいけないという強迫観念めいたものがあるが、楽しくて格好良ければそれで良いという、昔の風潮が消え去ったのは寂しい。多くのトリックはオールドスクールの延長だが、本当の意味でのオールドスクールに期待したい。